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第21回 マングローブ林を利用する若者達とのコラボレーション

タイトル
世界の各地域の自然と文化の紹介や環境問題に関するレポート
執筆者
 
地域
京都市  
テーマ
自然 暮らし 環境問題  
更新日
2014年11月18日

執筆者紹介

竹村紫苑 (たけむら・しおん) プロジェクト研究員

専門は景観生態学。研究プロジェクト「地域環境知
形成による新たなコモンズの創生と持続可能な管理」
プロジェクト研究員。2013年から地球研に在籍。
 

第21回 マングローブ林を利用する若者達とのコラボレーション
 

 私の調査地である億首川は、沖縄本島中部の田園風景が多く残る、金武町を流れる河川である。金武町では、田園風景やマングローブ林等の生態系を資源とした、観光による地域振興に取り組んでいる。そして、エコツアーのインストラクターとして億首川のマングローブ林を利用している同年代の若者達に出会った。

 

億首川で研究を始めたきっかけ

 

  私が本格的に億首川で研究を始めたのは2008年。億首川を研究対象地に選んだ理由は三つ。沖縄本島において規模の大きいマングローブ林が残存する数少ない河川であること。それにも関わらず、干潟や森林の様子(特に森林の次世代を担う若木が少ないこと)から、マングローブ林の現状に違和感を覚えたこと。そして、地元住民がエコツアーを通じてマングローブ林を実際に利用していたことである。

  そのような事から、マングローブ林の現状を把握し、永続的な利用に向けた管理のあり方を見出したいと思ったことが、億首川で研究を始めたきっかけである。将来的には、地域へと研究成果をフィードバックし、人々とのコラボレーションへと繋げたいという思いを持っていたが、そのような術も経験もない私は、調査区内に生育するマングローブ種の個体数と樹高を計測する森林調査に邁進した。
 

 

コラボレーションの始まり


   2010年8月、億首川のほとりにある体験型研修施設(ネイチャーみらい館)において『マングローブ・河口干潟の保全とその技術に関するフィールドシンポジウム』が開催された。そのシンポジウムにおいて、沖縄本島で研究するきっかけを与えて頂いた共同研究者の先生から、生態学と河川工学の両方の観点で億首川のマングローブ林の現状を報告する機会を頂いた。そこで私は、「億首川のマングローブ林は、沖縄本島の中でもマングローブ林にとって生育に適した河川の一つであるにも関わらず、老齢化の兆候が見られ、観光資源として持続的に利用するためには、人の手による管理が必要ではないか」と報告した。このシンポジウムでの報告が、マングローブ林を実際に利用している金武町の若者達のネットワークとつながるきっかけとなる。

   2011年6月、再びマングローブ林の調査に億首川を訪れた私は、若者達と一緒にマングローブ林について勉強会を開催したり、実際にマングローブ林の中を歩きながら、彼らが日頃感じている事について話し合うなど、互いに情報交換するようになる。若者たちとのコラボレーションが始まった。
 

 

若者達とのモニタリング調査

 

 「マングローブ林内の干潟の状態を自分達でモニタリングしたい」。この若者の一言をきっかけに、私は簡便な調査手法を彼らと考案し、現在も若者の手によってモニタリング調査が継続されている。その調査とは、億首川のマングローブ林内の調査地点に塩化ビニル管(塩ビ管)を打ち込み、干潟から露出している塩ビ管の長さを計測するというものである。この調査を通じて、干潟に土砂が堆積傾向にあるのか、それとも侵食傾向にあるのかが露出する塩ビ管の長さによって把握可能になる。

   2012年6月から観測を初めて約1年半、同じ億首川のマングローブ林の中でも、干潟の状態には複数のパターンがあることが、この調査によって明らかとなった。すなわち、彼らの手によって得られたデータが、干潟の状態に適したマングローブ林の管理のあり方を考える上で、とても重要な資料になる事が分かってきたのだ。今後も、億首川のマングローブ林をエコツアー等の観光資源だけにとどめず、地域の資源として永続的に利活用できるようなあり方を模索するため、若者達と一緒に考え、そして、一緒に調査・行動するような、「アクション・リサーチ」を進めていきたいと考えている。
 


 
億首川のマングローブ林



億首川周辺に拡がる田芋の水田



若者によるモニタリング調査のようす






この原稿は、編集部転載許可のもと、ニュースレター「地球研ニュー スNo.47」の原稿を転載しています。
 

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