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その言葉をはじめて聞いたとき、ショックのあまり夜もロクロク眠ることができませんでした。「残飯排出量世界一の国。――それが日本」。
いつのまに、そんなことになってしまったのでしょう。そういわれてみれば、街を歩いていると「飲み放題」「食い放題」の店が目立つようになっていました。「食べすぎ」「飲みすぎ」、そして「食べのこし」「飲みのこし」の光景が、ほとんど日常茶飯のことになっていました。
われわれの社会には、「もったいない」とか「腹八分」とか、知恵と工夫にみちた言葉が生き生きと使われていたはずでしたが、それがいつのまにか死語と化して、「残飯排出量世界一」の汚名を蒙るようになっているのでした。
これは自分自身をいましめる気持をこめていうのですが、食べるものをつくる側も、そしてそれを食べる側も、あらためてともに心しなければならないことではないでしょうか。要するに、作りすぎない、食べすぎない、飲みすぎない、というわけであります。
そうやっていけば、「低炭素社会」などと、舌を噛みそうなことをいわなくともいいのであります。何かといえば、すぐにも外来の新しそうにみえる言葉に飛びついて、そのうち足下の根本のライフスタイルを忘失してしまう、その愚をくり返さないよう心しようではありませんか。
幸い、「もったいない」はアフリカの環境論者ワンガリ・マータイさんのおかげで、国際語として通用するようになりました。これからはそれに加えて、もう一つ、われわれの先祖たちがつくり育ててきた知恵の結晶である「腹八分」という思想を、国際語に仕立てあげていこうではありませんか。