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Vol.012シュバイツァー

シュバイツァー

京都市ごみ減量推進会議 職員
野村直史さん
1979年に生まれ,生後間もないころからずっと京都市内で育つ。2007年に京都大学工学研究科都市環境工学専攻で博士号を取得。2007年4月から,京都市ごみ減量推進会議で働き,京都市内の修理店舗の紹介サイト「もっぺん」の立上げ等のごみ減量活動に携わる。
 ○ゴミゲンネット>>>
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/gomigen/

 ○もっぺん>>>
http://www.moppen-kyoto.com/
書名/
シュバイツァー
著者/
杉山勝栄

 当時使われていた農薬の生態系への影響などの危険性を指摘し,環境問題や化学物質管理に対する関心を高めるきっかけとなった,レイチェル・カーソンの「沈黙の春」が出版されて,もうすぐ50年になる。 この「沈黙の春」の1ページ目には,「アルベルト・シュバイツァーに捧ぐ」とある。シュバイツァーといえば,アフリカで医療活動をした人として有名であるが,実は環境問題についていち早く警鐘を鳴らした人の一人だ。
「沈黙の春」にも,彼の言葉が書かれている。
「未来を見る目を失い,現実に先んずるすべを忘れた人間。そのゆきつく先は,自然の破壊だ。」

 シュバイツァーは有名な偉人で,ここで紹介するのは「何を今更」という感もあるが,いつの頃からか,自分にとって,特に勇気を与えてくれる存在になった。どんな点に心ひかれたか。医学や哲学,神学など学問をしっかりと修めた点(それぞれ博士号を持っている)。全てを投げ打ってアフリカでの医療活動に身を投じた点(善を尽くそうとする姿)。アフリカで病院を作ったのに,第一次世界大戦で捕虜として捉えられ,大きな挫折を味わったにもかかわらず,再び立ちあがって,アフリカでの医療活動を再開した点。そして,自分の心をひくもう一つの理由は,彼がオルガニストでもあった点だ。自分も趣味としてピアノを弾いているが,学問だけでなく,音楽のプロであったところに,素直に憧れる。また,彼が活動をする際に念頭にあった聖書の一節「あなたがたのうちで,もっとも偉くありたいと思う者は,もっとも仕える者にならなければならない」は,自分が今の仕事をする上でも,非常に参考になる。

 シュバイツァーとレイチェル・カーソンの共通点。それは「命に対する感覚」なのではないかと思う。レイチェル・カーソンは,命を宿すことができる存在である女性。命に対する温かなまなざしを感じるし,シュバイツァーも「生命への畏敬」という言葉を残しているように命を愛した人だった。「人間や動物などどうなってもいい」と考えるならば,環境問題を認識することは難しい。命に対する感覚を深く持っていたからこそ,いち早く,環境問題について警鐘を鳴らすことができたのだと思うし,お互いに共感したのだと思う。

この「命に対する感覚」は,自分に対して向けることも大切だ。というのも,自分の命の大切さをわかってこそ,他人の命の大切さもまた理解できると思うし,真に自らの命に目を向ければ,それが他人や環境なしには,決して存在できないことに気付くと思うからである。環境問題は私たち人間が,環境とは切っても切り離せない関係にあることを,十分に認識していなかったから起こった問題だ。だから,その解決には,自らの命にも目を向け,他者の命,そして環境との関係に気付いていくことが必要だと思う。そう考えた時,シュバイツァーの「生命への畏敬」という言葉が,私の心に改めて響いてくるのである。
 

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