ページの先頭です。本文を読み飛ばして、このサイトのメニューなどを読む

サイト内の現在位置です:

Vol.024わら一本の革命

わら一本の革命

ショップマドレ店主
高木あゆみさん
1986年生まれ。旧 大阪外国語大学 開発・環境専攻卒業後単身オーストラリアへ。
7ヶ月間のシドニーでの都会暮らしに限界を感じ、タスマニアで電気・ガス・水道なしの暮らしをきっかけにパーマカルチャー、コミュニティ、バイオダイナミック、コンポストトイレ、採れたての野菜と手づくりのチーズや生みたての卵、満天の星空に出会う1年間のWWOOF旅を体験。
現在は“食べて地球にやさしくなる”がモットーのショップマドレの店主。

ショップマドレブログ
ショップマドレFacebook
書名/
わら一本の革命
著者/
福岡正信

なんとなく漠然と自分の中の何かの答えが“自給自足”で、そうするにはどうしたらいいのか、というヒントを得るために、6年前、私はオーストラリアで実際にそんな暮らしをしている人の暮らしをめぐるWWOOF※生活をしていました。

電気・ガス・水道なしの暮らし、パーマカルチャーやバイオダイナミックを実践して雨水や太陽の力を上手に利用する暮らし、手づくりとは思えないお城のような建物で暮らしながら自家製のパンやチーズなどの加工食品を販売して生計を立てるコミュニティの暮らしなどを体験しながら、国立公園をハイキングしては移動するだけの車暮らしもしていました。
それは、そのあり余る時間により、生きる意味や自分の存在価値だとか、“考えても答えが出ない問い”ばかりを考える日々でもありました。
車暮らしの後のWWOOF先で毎日植林をする暮らしをしていた時も、相変わらず考えても仕方がない事ばかり考えていました。
そんなある日、植林の作業が一段落し、柑橘の木につくカメムシを駆除する作業をすることになりました。作業はいたってシンプル。木についているカメムシを手でつかみ、水を張った空き缶に入れて溺れさせるというものでした。
虫は正直言うと苦手です。でも“仕事”だから頑張ろうと、気持ちを奮い立たせてカメムシに手を伸ばします。逃げようとするカメムシ。一刻も早く手から放したくて缶に入れようとしても、なかなか手袋から離れてくれません。悲鳴をあげながらもなんとか1匹を駆除しました。
2匹目も、と思いつつ、カメムシのあの逃げようとする感覚がとても怖くて、なかなか手を出せません。それでも時間がかかりながらも2匹目、3匹目も駆除。
となりの人を見ると、ものすごいペースで缶にカメムシを入れています。
私はまだ4匹目…やっぱりどうしても恐くて、情けなくて、悔しくて、でも仕事だからと葛藤します。しかし結果は30分が経過しても、駆除できたのはたったの5匹。
こんなことでは仕事しているとは言えない、でもどうしてもできない、と泣きながらホストに訴えると、かわりにアイロンがけと洗濯ものたたみの作業を言い渡されました。“上手ね、素晴らしいわ。”と外からパートナーを褒める声が聞こえてきます。自給自足がしたいって言うてるくせに、虫の駆除ができないなんて!こんな私には、自給自足したいなんていう資格なんてない!
役に立たない自分が情けなくて、涙が止まりませんでした。

それから数日後、日本からずっと気になっていた本が届きました。都会暮らしに限界を感じて最初に選んだWWOOF先で、電気・ガス・水道なしの暮らしをしていた時にも話題に上ってから気になっていた本です。ずっと先延ばしにしていたのですが、あまりにも鬱な日々を脱するために、少しでもやらなければならないことを進めるべく両親に頼んで日本からわざわざ送ってもらったのです。
それが、福岡正信さんの“わら一本の革命”。
いかに人間が“何もしない”で、自然に任せるか。だから、害虫を害虫とみなさないと。自然界の中では、虫がいて、それを食べる虫がいて、それを食べるまた別の虫や生きものがいて、またそれを食べる生きものがいて、そうやって成り立っているのだと。だから人間は何もしない方がいいと。
これだ!!
虫をどうしても自分の手で殺すことはできないけど、自然の力に任せたらいいんだ!これだったら、私も自給自足ができる!!

 帰国後、たまたま地元で自然農をしている人と出会い、1畝の自然農の田んぼにひとりで挑戦することになりました。何もしないと思っていたのに、草刈りは本当に重労働で何度もめげそうになり、金ごまに挑戦した時には、泣きながら虫を駆除することになりました。それでも私の中で、“わら一本の革命”は私の原点としていつでも帰る場所として心の中に存在しつづけています。
今はまだ、自分の土地も持っていないので田んぼもサポートだけ、プランターが畑になっていますが、きっと必ず自然と寄り添いながら、自分の食べるものは自分でつくり、おすそわけや物々交換する、そんな暮らしをしたいです。
その時にはきっと、わら一本の革命に出会った頃の自分の苦悩を笑とばせるようになっていたらいいな、と思います。

※WWOOF・・・Willing Workers On Organic Farms の頭文字。「有機農場で働きたいと思っている人たち」という意味で、金銭のやりとりなしで有機農場主さんが『食事・宿泊場所』を提供し、働きたい人が『労働力』を交換するしくみのことです。
詳しくはWWOOFジャパンウエブページへhttp://www.wwoofjapan.com/main/index.php?lang=ja

京都と本とエコとわたしトップに戻る

ページの終端です。ページの先頭に戻る