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Vol.025地球家族〜世界30か国のふつうの暮らし〜

地球家族〜世界30か国のふつうの暮らし〜

NPO法人百菜劇場 理事、農家
廣部里美さん
1984年福井県生まれ。東京農工大学農学部を卒業後、就職をきっかけに滋賀県へ。
3年前から滋賀県近江八幡市北之庄町に1ヘクタールの田畑を借りて、農業をはじめる。
地域の人の知恵や力を借りて、お米、レンコン、多品目野菜の栽培に挑戦中。
昔はあたりまえに暮らしの中にあった「農」を、現代の暮らしに広めていくため、畑を開いて体験会を行うなど、素人農家の目線で「農」の楽しさを発信している。


NPO法人百菜劇場HP 
書名/
地球家族〜世界30か国のふつうの暮らし〜
著者/
マテリアルワールドプロジェクト (著), ピーター・メンツェル (著), 近藤 真理 (翻訳), 杉山 良男 (翻訳)

湖と山に囲まれた集落で農業をはじめて3年が経ちました。
なぜ農業を?とよく聞かれます。
理由はいろいろありますが、「できるだけお金に頼らない暮らしができるようになりたい」と思ったとき、食いしん坊な私は食べるものをつくれるようになろうと考えたのが理由のひとつです。
「お金に頼らない暮らし」への漠然とした憧れは、社会人になって3年目ぐらいから膨らんでいきました。
都心で働く友人たちが「いくら働いても時間もお金もない」と話し、ストレスで体調を崩す人が出てきました。確かに都会での暮らしは高い。住むところ、食べるもの、水・・・すべてにお金がかかる。
そんな風に都会で窮屈に暮らす人たちへ、土と水に近い農を中心とした暮らしを地方から提案したかったのです。


「地球家族〜世界30か国のふつうの暮らし〜」には、戦禍のサラエボからモノがあふれる日本まで、世界各国の平均的家族の持ち物と暮らしが写真で紹介されています。
この中で、私が一番印象に残った家族はエチオピアの家族。本が出版された1994年当時、エチオピアの平均年収は12,300円、国民の87%が農村で暮らしています。農村には電気、ガス、水道はありません。持っている服は1着のみ。食事は1日2食が基本。5人の幼い子供を持つ父親は、「子供たちが農業では生きていけないこと確信している。子供たちには何よりも教育が重要」だと話し、まとまったお金をつくり、町に出て行くことが成功の印として語られています。


この家族は、私を見てどう思うだろう?


農業が生活の糧であるエチオピアで、お金があれば幸せになれると信じている家族。
モノがあふれる日本で、お金に頼らない暮らしに憧れて農業をはじめた私。


エチオピアの家族と自分を比べたら、何もかもが逆。自分が平和ボケしているように思えてきたり、なんだか申し訳ない気持ちになったり。
結局、落としどころが分からなくて、正直、なんでこの本を選んでしまったんだろうと後悔までしました。
でもやっぱり私にはこのエチオピアの家族の写真が生き生きとして見えるのです。家も家財もほとんどが土に還るものでできていて、動物と人間が一緒に暮らしていて、食べものは自給自足。
「自分たちを豊かだと思うか、貧しいと思うか。」という質問に、この家族の父親は「豊かでも貧しくもない。毎日やっとの生活だが、生きていける。」と答えています。


私はずっと、「地方の豊かな暮らしを都会の人に提案したい!」と思っていましたが、この父親の答えを読んで、はっとしました。
「豊か」とは?「貧しい」とは?それは、人から与えられるものじゃなく、自分の中にあるものだと気づいたのです。


この本はこれまで何度も開いたことがありましたが、今回は自分にとって大切なものは何かとことん向き合うことになり、それは苦しくも恵まれた時間でした。
 

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